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IP Update

USPTO, PTAB 審判実務ガイド第二版を発表 (パート1)

July 18, 2019

By Joshua L. Goldberg; Jason E. Stach; Trenton A. Ward

2019年7月15日、米国特許商標庁 (USPTO)は、AIA審判手続を規定する審判実務ガイド(TPG)の第二版をリリースしました。本ガイダンスに規定される審判手続きは、特許審判部 (PTAB)による異議申立手続きとしても知られています。このIP Updateでは、第二版にある更新事項のうち、影響が大きいと考えられる点につきパート1、パート2、の2回にわたり取り上げます。

審理手続きの開始について

  • 同一特許に対する複数請求: 更新版では、「請求人が審理を請求する際、多くの場合1回の請求で事足りる」(TPG3, 26) と述べています。現在まで、審理請求の大半は1回の請求で行われており、同一特許に対して複数回請求をすることは、審判部や特許権者に不必要な負担を課す可能性がある、としています。「多くの場合、複数請求の必要はない」 (Id.)と述べています。
  • 複数請求が必要な場合の説明文書: それでも複数請求が必要な場合、請求人は、その必要性を説いた5ページの説明文書になぜ複数請求が必要なのかを説き、「それぞれの請求間における類似点及び相違点を示した表」とともに提出することができます。その際、以下の情報も記載することができます。
  • 「 (1)審判部の裁量で審理開始をする場合、審理開始決定の検討を行ってほしい順に、各請求書を順位付けすること、又
  • (2)各請求書間の相違点を簡潔に説明し、その相違点が重要である理由、又、追加提出された請求を審判部の裁量を行使して審理開始決定すべき理由。」(TPG3, 27)
  • 複数請求が必要でない場合の説明文書: これに対し、特許権者は、「2回以上の請求を開始決定すべきではない理由」を述べた5ページの説明文書を予備応答時に提出することができます(TPG3, 28)。
  • 審理開始決定で検討される内容: 審判部は「請求よりも少ない数のクレームや根拠に対しては開始決定をしません。」(TPG3, 32)審判部の開始決定判断は、「請求内容に関する長所と短所の分析、又審理に向けた指針を含みます。」 (Id.)請求より少ないクレームや根拠が開始基準を満たすとなった場合には、その請求自体を却下すべきかが判断されます。(Id.)

審理請求

  • クレーム解釈: 請求人は、請求時に、「あるクレーム文言について提案する解釈を特定したステートメントを提出する必要があり」、明示すべき解釈がない場合も、その旨を述べたステートメントを提出することができます。これに対し、「特許権者は、請求人の見解に応答することができ、同時にクレーム解釈に新たな文言を追加で提起することができます」(TPG3, 13)。請求人は、「特許権者により提起されたものであれば、新たなクレーム解釈に対して応答できますが、それ以外は請求時にあらかじめ提起されていなければ新たなクレーム解釈として提起できません」( Id.)。審判部によりクレーム解釈が提起された場合は、双方の当事者に応答機会が与えられます。(Id.)。
  • 関連のある手続におけるクレーム解釈の扱い: 審理請求されたクレームにおいて、民事訴訟又はITC手続で先行するクレーム解釈の決定があり、適宜記録された場合は、検討対象となります(TPG3, 15)。 「従って、民事訴訟の場合と同様に、当事者は明細書、出願包袋、及び関連外部証拠で審判部に検討を希望する箇所を指摘し、それらの証拠とクレーム解釈の主張との関連性を説明する必要があります。」( Id.)。 先行するクレーム解釈に関する文書提出は、「審理中の当事者の主張と矛盾する情報を含むものであった場合、37C.F.R.§42.51 (b) に基づき、必須となります。」( Id.)。

予備的応答

  • 証言証拠: 証言証拠は予備的応答時に提出が認められていますが、そのような証言証拠から作られる重要となる事実の真正な争点は請求人に最も有利な観点で審査されます。(TPG, 19)。 とはいえ、 「予備的応答の段階では、証言証拠の矛盾点の全てが必ずしも重要となる事実の真正な争点とはなりません。」また、特許権者には、予備的応答時に提出した証言を撤回することができ、そのような証言に依拠しない選択を取ることも認められています。(TPG3, 20)。
  • 請求人の応答権限: 審判部は、「特許権者が予備応答時に提出した証言証拠に対して、請求人が応答する機会を与えることができる」とあります(TPG3, 20)。しかし、「審理開始決定までの期間が短いため、多くの場合、請求人の応答の機会は与えられないだろう」と述べています(TPG3, 21)。

ディスカバリー手続き

  • 追加ディスカバリー判断の基準: ディスカバリーは、両当事者の同意により実施してもよいが、同意に至らなかった場合、審判部は別の基準を用いて追加ディスカバリーを実施すべきか決定します。(TPG3, 7) 当事者系異議申立手続き(IPR)及び冒認手続には「Interests of Justice(正義の原則)」基準、「付与後異議申立手続き(PGR)及びビジネス方法特許異議申立手続き(CBM)には、やや自由度の高い 「Good Cause(正当な理由)」 基準が適用されます。」 (Id.)
  • Garmin 事件及びBloomberg事件によるファクターは依然重要視: 「Interests of Justice」基準に基づく追加ディスカバリーを実施するかの判断において、審判部はGarmin事件判決による5つのファクターに注目する、としています。Garmin Int’l, Inc. v. Cuozzo Speed Techs. LLC, Case IPR2012- 00001 (PTAB Mar. 5, 2013) (Paper 26)。 本事件に関する詳細は、弊所AIAブログのこちら, こちら 、そしてこちら 、をご参照ください。また、「Good Cause」基準については、Bloomberg事件判決による同様のファクターを適用する、としています。Bloomberg Inc. v. Markets-Alert Pty Ltd., Case CBM2013-00005 (PTAB May 29, 2013) (Paper 32) (precedential). (TPG3, 8)
  • Garmin事件判決に基づく事例: 第二版では、Garmin事件のファクターを特定の状況にあてはめた事例を複数示しており、いくつかのファクターについて、「主張に関する質問状は通常許可されない」等の追記もある。(TPG3, 8-10)
  • 実質的利害関係者及び非自明性を証明するための副次的考察要因に関するディスカバリー: 審判部は、追加ディスカバリーのリクエストが最も多く発生するのがこの二つの分野である、と述べています。(TPG3, 11)追加ディスカバリー申立ての許可の判断としては、「リクエストが限定的であり、適当であると判断した場合」としています。Id.
  • 特許審判官等の前で発した証言証拠(Live Testimony): 特許審判官の前で審理や証言録取の際に発した証言については、場合によっては、証拠として認められますが、限定的な状況に限られます。」 (TPG3, 12) そういった生の証言を許可するかの判断は、K-40 Elecs., LLC v. Escort, Inc., Case IPR2013-00203 (PTAB May 21, 2014) (Paper 34) (precedential)事件のファクターに基づき検討する、としています。(Id.) 「ファクターには、審理判断の手がかりをもたらすか否かなど証人による証言の重要度や、事実証人であるか否かが含まれています。」 (Id.) しかし、審判部は、「専門家の態度よりも、理論の妥当性に重きを置くことが多い」ため、専門家の生の証言が許可される可能性は低い、としています。(TPG3, 12-13)

裁判管轄及び記録管理

  • 一方的コミュニケーションの禁止: 審判部は、本質部分に関わる全ての事案に関し、一方的なやりとりを禁じ、別段の許可がない限りは全当事者をコミュニケーションに含めねばならないとしています。(TPG3, 4) しかし、相手方の弁護士が審理又は電話会議への参加を拒否した場合は、この限りではありません。そのような場合、審判部は、手続きを進める条件として「コミュニケーションの内容の記録や録画録音の記録、など」「追加の保障措置」を命じることができます。(TPG3, 6)
  • 電話会議の設定: 審判部は、電話会議を設定する前に、まずは「当事者同士が協議し、紛争解決を目指すべきである」(TPG3, 5) としており、それでも電話会議が必要な場合は、「その理由と会議で使う資料(例:特定の証拠書類)を審理部のパラリーガルに説明できるよう準備しておく必要がある」 (Id.)としています。また、電話会議実施時にはコートレポーターが同席しているかを審判部に伝え、同席している場合には、トランスクリプトの写しを1週間以内に提出する必要があります。(Id.)

情報開示と秘密情報の保護

  • 秘密保持命令: 審判部は、正当な理由に基づき秘密保持命令を出すことができます。書類の非公開申立てで秘密保持命令を提案する上でのガイドラインは添付書類Bにあります。(TPG3, 6)。
  • 秘密保持命令の申立ての判断前でも秘密情報は保護対象に: 秘密保持命令の申立が係争中の場合は、秘密文書及び物品は審判部による決定まで保護されます。(TPG3, 6) 申立てが却下されたが提案した秘密保護命令に基づいて秘密情報を提出している場合は、審判部に対してその秘密情報を記録から抹消するよう要求できます。(Id.) その要求がなければ、提出済み書類は公開対象となります。(Id.)

Tags

Patent Trial and Appeal Board (PTAB), AIA trial strategy

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