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U.S. Supreme Court Rules on First Sale Copyright Protection in Kirtsaeng Decision

March 22, 2013

By Margaret A. Esquenet; J. Derek McCorquindale; Kevin D. Rodkey; Jason L. Romrell



合法的に海外で製造された著作物の許可を得た販売には、米国権利消尽理論(ファースト・セール・ドクトリン First sale doctrine)が適用されます。

米国著作権法第109条(a)では、合法的に製造された著作物の複製物の所有権を得た者は、当該著作物の複製物を著作権者の許諾なく売却又は処分できると規定しています。この原理は、権利消尽(ファースト・セール・ドクトリン First sale doctrine)として知られています。2013年3月19日、注目されていたKirtsaeng v. John Wiley & Sons, Inc.訴訟で、米国連邦最高裁判所は、6対3の多数決により、合法的に海外で製造され、米国国内に輸入された著作物については権利消尽が適用されるとの判断を下しました。本件は、最高裁判例であるQuality King Distributors, Inc. v. L’anza Research International, Inc. 判決523 U.S. 135 (1998) を拡大解釈しています。Quality King判決では、米国で製造された著作物で、まず始めに海外で販売され、その後第三者によって米国国内に逆輸入されたものに対し、権利消尽が適用されました。今回の最高裁Kirtsaeng判決は、世界市場の分割など、海外版及び国内版の著作物配布を取り締まる著作権者の権限に多大な影響を及ぼすとされています。

最高裁の見解

数学を学ぶため米国留学していたタイ国籍のSupap Kirtsaeng氏は、タイにいる友人、家族に頼み、海外で出版されていた英語版(米国外向けエディション)教科書を購入し、米国にいる同氏へ送るよう依頼しました。同氏は輸入したそれらの教科書を米国国内で転売し、利益を得ていました。

Kirtsaeng氏が転売していた教科書の著作権はJohn Wiley & Sons(以下 Wiley社)が保有しておりました。Wiley社はKirtsaeng氏を提訴し、同社が海外で製造、配布した教科書を許可なく輸入、転売することは、著作物販売の排他的権利侵害にあたると主張しました。下級裁判所では、Wiley社の主張が認められ、権利消尽の適用は海外で製造された著作物には該当しないとする判決が下されました。Kirtsaeng氏はその後、最高裁へ上告。全員一致ではないものの、最高裁は下級裁判所の判決を覆し、権利消尽の適用は、海外で製造された著作物の複製物にも該当するとの判決を下しました。

判決文でBreyer判事は、本件は著作物の配布や輸入を取り締まる著作権者の排他的権利と、合法的に著作物を購入し再販売する者の権限が交差する位置にあるとの認識を示しました。 最高裁は、著作権法にはある一定の排他的権利を著作権者に認めており、それには、“販売その他譲渡により公衆に著作物を配布する” 権利も含むとしています。判決速報1(17 U.S.C. § 106(3)引用)   しかしながら、その排他的権利には一定の制限があり、第109条(a)に規定される権利消尽もそれにあたるとしています。それと同時に、著作権者の許可を得ず著作物の複製物を米国に輸入することは、 輸入禁止を規定する著作権法第602条(a)(1) の “著作権者の排他的販売権の侵害” であるとしています。Id. at 2.

Quality King判決に倣い、最高裁は、海外で製造された著作物には権利消尽が適用され、米国にて著作物の販売を行う著作権者の権利は、海外で製造、販売された著作物に対しては消尽するとの判断を下しました。

最高裁は本判決に至るにあたり、まず第一に、権利消尽に係る条文の文意は果たして著作権者が海外で製造、販売された著作物を取り締まることができる地域的制限を支持しているのか審理しました。そこで、条文にある “lawfully made under this title(本編に基づき合法的に製造された)” という文の定義が焦点となり、それは “made ‘in accordance with’ or in compliance with’ the Copyright Act (著作権法に従って或いは、著作権法を順守して製造された)”という意味になると判断され、条文を解釈する上で、地域的制限は含まれないと判示しました。 判決速報8-9頁。  最高裁は、この “平易な” 解釈が “従来からの著作権本来の目的” である、著作権侵害の防止を推進させるとの結論を出しました。Id. at 9.

次に最高裁は、反対意見が提起した“地域的制限の解釈” を“言語的解釈の困難に溢れている” として否定しました。Id.  例えば、条文から地域的制限を解釈するには、条文の“under this title(本編に基づき)”という文に “著作権法が適用される場所で著作権法に従って”という意味が含まれていることが必要となるとしています。Id.著作権法が “適用される” 場所が “不確実かつ複雑” であることから、多数派は反対意見の解釈を退けました。Id. at 10. 最高裁は、第109条(a)“lawfully made under this title(本編に基づき合法的に製造された)”という文は、平易な言い回しであり、その文意に地域的制限は含んでいないとする解釈に有利だとの判断を下しました。

第二に、最高裁は第109条(a)の施行を取り巻く条文の文脈を審理しました。以前の法定と現行の法定を比較し、以前の規定では “ lawfully obtained (合法的に取得した) ” 著作物に適用されたのに対し、現行の規定は“lawfully made(合法的に製造された).”  “the owner of a particular copy(ある特定の著作物の権利者)”に適用されるとしています。 Id. at 12-13. 最高裁は法定の変更について、抗弁を主張する借主(lessees)など権利者ではない者を権利消尽の範囲から除外するのが目的としており、借主は著作物を “合法的に取得した” かもしれないが、“権利者” ではないとの判断を下しました。Id. at 13-14. さらに、以前の規定には地域的制限の解釈は存在せず、今回の変更で何も含意されていないことから、この法定の変更は、権利消尽に地域的制限が存在するという解釈とは言えないと判示しました。それ故に最高裁は、米国の著作権者には、海外出版した著作物を米国の販売網で取り締まる場合には権限が与えられるが、米国国内出版した著作物には与えられないとして、地域的制限の解釈を退けました。 Id. at 15.

第三に、最高裁は、権利消尽のコモンローの起源や “impeccable historic pedigree(一部の隙もない系統)” Id. at 17.  に照らし合わせて、第109条(a)の法定の原理を審理しました。最高裁は、“ ‘これまでコモンローによって統治されていた争点を条文が包含している場合’、‘ 連邦議会はコモンローの内容を準拠する意図があったと[最高裁は]仮定しなければならない。” とする解釈の原理を再び明言しました。Id.  コモンローの権利消尽には、地域的制限についての解釈が含まれていなかったため、この原則は109条(a)にそのような制限があるとする解釈とはならないとしました。また、地域的制限が存在しないと解釈することで、追跡が困難な携帯商品に対し制限を執行しようとする裁判所の業務負担の軽減になると主張しました。Id. at 18. 

第四に、最高裁は、図書館、古本販売業者、テクノロジー関連企業、消費財小売業者、美術館等の各団体らによる議論を審理しました。該団体らは第109条(a)の地域的制限の解釈について、“著作権の基本的な制定法上の目的にとって失望であり、特に、 “科学[学術]及び有用な技芸の発展の促進にそれが懸念される”と主張しました。最高裁はこの主張を認め、Wiley社の見解である、該団体らによって起こりうる恐怖の連鎖(parade of horribles)は “まだ問題が発生していない” から不確かだとする意見を却下しました。Id. at 22.  最高裁は、問題が発生しにくいのは、法律上の不明瞭が起因している、若しくは、 “権利消尽における信用” は権利者の承認を求める習慣を通常持たない該団体の特質と “深く根差している” からだとしています。最高裁は、地域的制限の解釈は、この信用を崩壊させる可能性があるとの認識を示しましたが、今後発生する可能性のある “耐え難い結論”という視点から見た今回の法定の変更については明言を避けています。Id.

最後に、最高裁は反対意見の数点に言及し、Quality King判決は地域的制限の解釈を「積極的に支持している」との意見をまず却下しました。Id. at 24.  Quality King判決は、 “輸入に関する規定について、著作物の米国への逆輸入(著作権者に無許諾で行うこと)を禁じていないと判示している” と言及しています。Id. at 25 (強調は原文に準ずる).  さらに、Quality King判決について、“第109条(a)の ‘権利消尽’ は、第106条の排他的販売権の範囲を制限している”としています。Id. 最高裁は、第109条を文意の精査が不十分なかたちで読み取り、同判決の内容に基づいた反対意見を退け、それによる拘束を拒絶しました。Id. at 27. 第二に、最高裁は、第109条の立法経緯は同条が地域的制限を意図しているかは言及されていないとし、反対派の立法経緯に基づく主張を拒絶しました。第三に、最高裁は、権利消尽に地域的制限の解釈がなければ、国内市場と海外市場の分割は出版社にとって困難、或いは不可能だとする反対派の主張に譲歩しました。Id. at 31.  しかし、憲法も、著作権法も、限定的排他的権利に市場を分割する権利を含むという示唆はないと述べました。Id. at 32. それどころか、権利消尽は “著作権者が国内市場を分割する権限を制限し”、その権限の制限は、 “市場分割を通例禁ずる独占禁止法と一致する。” とされています。Id. 最後に最高裁は、反対派の懸念である“ 最高裁の意見は前代未聞の‘国際的消尽’体制” を築き上げてしまうとする主張を却下しました。Quality King のもとでは、反対意見の主張する権利消尽の地域的制限の解釈は “すでに極端に非力である”としています。

要約すると、Kirtsaeng判決は、Quality King判決の拡大解釈であり、海外にて製造された著作物の複製を海外にて販売後、米国に逆輸入するという状況にQuality King判決が適用され、権利消尽は、このような複製の配布を取り締まる著作権者の権利に制限を与えるものだと判示されたということになります。

Kagan判事の同意意見
Kagan判事(著)とAlito判事は最高裁の意見に同意を示しましたが、“ 今回の[最高裁]判決とQuality King判決双方の組み合わせは無許諾輸入の規制範囲に阻害をきたす”と別に述べています。同意意見1 (Kagan, J.). しかし、同判事は、“如何なる問題” もKirtsaeng判決ではなく、Quality King判決に起因していると主張し、それは、Quality King判決を適用すると、輸入禁止規定を“非常に難儀な応用”にしてしまうことが余儀なくされるからであると述べています。Id. at 2.  同判事は、Quality King判決が生じさせた結果は、 “権利消尽が輸入禁止範囲を制限するという同事件の判決に一旦の停止を与えると述べ、しかし、“第109条(a)が海外で製造された著作物の著作権者に与える権利消尽保護を打ち砕くことで、最高裁は“Quality King判決による[輸入禁止]救済への誘因を適正に拒否している” との結論を下しました。

Ginsburg判事の反対意見
Ginsburg判事(著)とKennedy判事、そして一部参加したScalia判事らは、最高裁の見解に反対意見を示しました。「最高裁の見解は、米国著作権者を無許諾輸入から保護する連邦議会の目的とは相反しており、著作権の国際的消尽の流れの先頭にわが身を置いてしまう」と主張しました。 反対意見1 (Ginsburg判事).  判決と同様に、反対意見では、本件の解決で着目すべきは “著作権者の ‘排他的権利’ ” 、 “権利消尽”、そして “輸入禁止” に関連する3つの条項だとしています。Id. at 2-3.  また反対派は、Quality King判決が “ 米国で製造され、海外で販売された著作物の米国への輸入は、[輸入禁止]条項下では、著作権侵害に該当しない” と判示されていたことを認めました。Id. at 3.  しかしながら、Quality King判決( 争点となっている著作物が“合法的に製造された” もので米国著作権法に準拠せず、他国の法に基づく場合)の傍論に倣い、反対派は、輸入禁止は “海外販売向けに製造した著作物の米国への逆輸入を排除する権限を著作権者に与えている”と結論付けています。Id. at 5.

判決と同様に、反対派は第109条(a)条文にある“lawfully made under this title(本編に基づき合法的に製造された)”の部分に焦点を当ててはいるものの、そのフレーズが意味するのは、“著作物の創造が著作権法に “従い、遵守した上で行われた” ということであると述べました。Id. at 6. なぜなら、著作権法に “治外法権の適用はなく”、それ故、海外出版物は “著作権法に従っていない” と解釈されるためだとしています。Id. 反対意見によると、最高裁の解釈は、輸入禁止を “無意味なもの” にさせ、連邦議会が目的とする規制範囲が禁止規定に与えられていないとしています。Id. at 10. むしろ、ある条件に基づき著作権者に無許諾で著作物の輸入を承認するという輸入禁止規定の例外を圧倒させるものだと述べています。Id. at 11.  反対意見では最終的に、この事態を避けるため権利消尽は、 “海外で製造、販売された著作物ではなく、米国で製造された著作物に適用される、と解釈されるべきである” との結論を出しています。Id. at 12.

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