January 30, 2014
米国ニュージャージー州連邦地方裁判所は2014年2月24日、In re Lamictal Direct Purchaser Litigation(Lamictal事件)の判決で、ANDA特許侵害訴訟での逆支払いによる和解(reverse-payment settlement)は、先発薬メーカーから後発薬メーカーへの金銭支払いがなければ、昨年の最高裁判決であるFTC(連邦取引委員会)対Actavis事件に基づく反トラスト法責任は問われないとの判決を下しました。
地裁は、後発薬メーカーの1番目の申請者に認めている180日の排他的期間内に先発薬メーカーがAuthorized Generic(先発薬メーカーが公認したジェネリック薬)を発売しないと同意することは、反トラスト法責任を誘発するものではないとし、被告側である先発薬メーカー側が申立てていた訴えの却下(motion to dismiss)を認めました。In re Lamictal Direct Purchaser Litigation, 12-cv-995 (WHW) (D.N.J. January 24, 2014) (Senior Judge Walls), 判決文はこちら.
2013年6月17日のFTC対Actavis事件No. 12-416, _ U.S. _, 2013 WL 2922122 (June 17, 2013)最高裁判決で、最高裁はANDA訴訟での「逆支払い」による和解をめぐる反トラスト法の違法性を判断するのに「特許の範囲論 (scope of the patent)」及び「略式分析 (quick look)」を基準として用いることを否定しました。代わりに最高裁は、合理の原則分析を、少なくともある特定の状況下で行うべきだと判示していました。Id. at *13 どのような状況が合理の原則分析を誘発させるのかは尚も不明瞭のままです。先発薬メーカーと後発薬メーカー間の和解に金銭支払が含まれないといけないのかが争点となっておりました。Lamictal 事件で地裁は、他の二つの地裁での判断と違って、この問題に肯定的な回答をしました。In re Lamictal, slip op. at 19.
Lamictal 事件は、てんかん及び双極性障害治療に用いられるGlaxoSmithKline社(GSK)の薬品、ラミクタールに関するものです。先発薬メーカーであるGSKは、ラミクタールのジェネリック版をANDA申請した後発薬メーカーであるTeva Pharmaceuticals(Teva)に対し、同行為が侵害だとして提訴しました。両者は和解し、GSKはTevaに特許期限終了前にラミクタールを販売できる許可を与え、また、Tevaの180日間の排他的期間内に(GSKの)Authorized Genericを発売しないことに同意しました。Id. at 1-3. ラミクタールの購入者らは、Authorized Genericを販売しないとしたGSKの同意は、違法な「逆支払い」の和解であり、反トラスト法違反だとしてGSKとTevaを提訴しました。Id. at 3. 最高裁Actavis事件後の差し戻し審で、Lamictal 事件の地裁は、救済が与えられるような請求の原因を主張していないとし、反トラスト法違反の申立て却下を支持しました。Id. at 19.
反トラスト法違反を主張する原告側は、Actavis事件では「重要な検討事項、インセンティブ、利益」― 金銭若しくは金銭に代わる別の何か ― が先発薬メーカーから後発薬メーカーに流れた場合に合理の原則分析が要求されると主張しましたが、地裁はこの意見を否定しました。Id. at 5. まず 第一に地裁は、「Actavis事件で要求されている[反トラスト]調査は、特許訴訟における逆支払いの和解に対してのみ」であり、また「反トラスト調査が免除される」のは、早期市販条項(Early entry provision) による和解のみであると判断しました。Id. at 11-12.
第二に地裁は、違法性のある逆支払いによる和解となるには、少なくとも金銭のやりとりが必要と判断しました。即ち、「Actavis事件は逆支払いが不当に行われた特許訴訟の和解に適用される」としています。Id. at 19. 地裁はその理由として、最高裁の多数意見及び反対意見が「金銭支払い」を焦点としていたことによると述べました。Id. at 13; see id. at 13-16.
また地裁は、Actavis事件が適用されるのは、金銭支払いのない和解であると判決が下された他の二つの地裁事件に異議を唱え、「Actavis事件に裏付けられた言葉ではない、若しくは不適切である」と判断しました。Id. at 16-17; In re Lipitor Antitrust Litig., M. Dkt. No. 3:12-cv-2389 (PGS), 2013 WL 4780496, at *26 (D.N.J. Sept 5, 2013) (Sheridan, J.) (「Actavis事件の何れにおいても金銭という形での支払いを厳格に要求していない。」)、In re Nexium (Esomeprazole) Antitrust Litig., Civ. A. No. 12-md-02409 (WGY), 2013 WL 4832176, at *15 (D. Mass. Sept. 11, 2013) (「Actavis事件の何れにおいても、先発薬メーカーと後発薬メーカー間の逆支払いによる合意には金銭のやりとりが必要であると最高裁は厳格に明示していない。」)と異議する。
控訴審が地裁判決と逆の判決を下すような状況になった場合について(例えば、Actavis事件は反トラスト法違反の疑いがある逆支払いによる和解を金銭のやりとりに限らない、など)地裁は、GSK及びTeva間の和解は合理の原則分析を満たしていると述べました。
最終的に地裁は、先に承諾されていたGSKとTevaによる訴えの棄却申立を支持しました。
Actavis事件による影響の範囲は、地方裁判所がこの最高裁判決を解釈し、実施していくに従い、徐々に明らかになるでしょう。
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