September 12, 2012
連邦巡回控訴裁判所(CAFC)大法廷で、今後長年にわたり特許侵害成立要件に多大な影響を及ぼすとされるCAFC事件判決が下った。注目されていたアカマイテクノロジーズ 対 ライムライトネットワークス事件およびマッケソンテクノロジーズ 対 エピックシステムズ事件である。Akamai Technologies, Inc. v. Limelight Networks, Inc., Nos. 2009-1372, -1380, -1416, -1417, and McKesson Technologies, Inc. v. Epic Systems Corp., No. 2010-1291(連邦巡回控訴裁判所2012年8月31日)(大法廷) (以下「アカマイ事件」). アカマイ事件の本判決では、教唆者(inducer)および被教唆者(induced party)双方がそれぞれ方法クレームのステップの一部を実施する状況で、米国特許法第271条b項に基づく誘発侵害を成立させることが可能だとの判断が下された。CAFC主席判事のRaderをはじめ、11名中6名の判事(Lourie、Bryson、Moore、Reyna、Wallach)多数派で構成した本判決は、“共同”(joint)侵害か “個別の” (divided) 侵害かという問題にCAFCなりの解決策を示している。その問題とは、271条のb項に基づくものであり、2つ以上の組織/人が方法クレームの異なるステップを実行する場合というものである。
CAFCは、判決に至った根拠の説明で、侵害成立要件についての誤った認識を正していると述べた。誤認とは、誘発侵害立証の際、「single-entity rule 」と呼ばれる単一の組織/人による直接侵害を示す必要があるということである。この点については、BMC Resources, Inc. v. Paymentech, L.P., 498 F.3d 1373 (Fed. Cir. 2007) およびそれに判例として引用された事件判決が覆されることになった。具体的には、「誘発侵害において直接侵害が存在している証拠を必要とするということは、直接侵害者としての責任が単一の組織/人にある証拠を必要とするということではない。」と判示している。判決速報16頁. CAFCは、クレーム方法のステップそれ自体の一部を実行しただけで、侵害を誘発する当事者は全ての責任から逃れることができてしまうsingle-entity ruleの「奇妙な結末」に言及した。判決速報16-17頁. また、「実際に侵害行為となる方法の実行に参加した当事者は、むしろどのステップも実施していない者より咎められるべきである。」とも述べている。判決速報17頁. 侵害の意図については、「誘発侵害の条件として、教唆された当事者が教唆者の首謀であること、もしくは、該当事者の行為は直接侵害者である該教唆者によって引起こされ、該教唆者による指示やコントロールのもとで行動していることは誘発侵害は必要ではない」と説明している。判決速報14-15頁. それよりも、「侵害行為や誘発行為の遂行を教唆者が引起こし、強く求め、奨励し、援助しているという事実があれば十分である」と述べた。判決速報15頁(原文より変更)(引用略).
CAFCは、本判決を「特許の侵害を積極的に誘発する者は、侵害者としての責任を負う」と規定する米国特許法第271条(b)項に沿うものであると特徴付けた。米国特許法第271条(b)項.また、「本件のような事情背景における「侵害」とは、特許を侵害するのに必要な行為に言及するのがもっとも自然であり、侵害行為の実行が単一の組織/人によるものなのか、複数によるものなのかには言及しない」としている。判決速報17頁. 同様に、クレーム方法の全てのステップを単一の組織/人が実行しなければならないとする要件は、侵害の成立に必要ではないとする誘発侵害の解釈を米国特許法271 条の立法経緯が裏付けたと結論付けた。CAFCは、Rich判事による「侵害成立要件に関する改正法では、単一の組織/人が直接侵害の責任を負わない場合であっても、個別による侵害の案件を範囲内とすることを意図している」とした意見を引用している。判決速報19頁(強調追加). CAFCはまた、共同誘発侵害の責任が当事者にあるとする判決は、罪の原理および不法行為法により裏付けられているとの結論を下した。判決速報21-26頁.
それ故、CAFC大法廷は前回の「panel decision」の決定を覆し、地裁に対し侵害責任は誘発侵害に基づき判断すべきと命じ、事件は差し戻された。判決速報35-36頁. 例としては次のように述べている。「特許権者が以下(1)~(4)を提示することができれば、ライムライト社に誘発侵害の責任があるとした:(1)アカマイ社特許の存在をライムライト社が知っていた(2)該特許でクレーム方法のステップを、一つのステップを除いてライムライト社が実行した(3)コンテンツプロバイダを誘発し、クレーム方法の最終ステップを実行させた(4)コンテンツプロバイダ自体が最終ステップを実行した」。 判決速報36頁.
Newman判事はこれとは別に、双方の事件とも前回の決定を覆すべきだとの大法廷判決には賛成したが、一方でCAFC大法廷の「inducement-only rule」については異議を唱え、「直接侵害は、単一の組織/人によるものであろうと、意思疎通や共同作業によるものであろうと、全ての方法クレームのステップが実行された際に起こるものだとする状況に戻すべきだ」と主張した。Newman, J., 反対意見38頁. それ故に、救済措置は必要に応じて事件につき「割り当てられる」と述べている。Newman, J., 反対意見38頁. 同判事は、誘発侵害基準のもとであっても、差し戻しを要求する多数派には同意していない。Newman, J., 反対意見31-38頁. むしろ、同判事が提案する基準もしくは(過半数の)誘発侵害基準に基づいていたら、両事件で侵害責任の判決に至っていただろう。Newman, J., 反対意見31-38頁.
別の反対意見として、著者であるLinn判事、共著のDyk判事、 Prost判事、O’Malley判事は、「もし特許への直接侵害がないのであれば、寄与侵害も起こりえない」という判断に基づく法令および最高裁判例に本判決は違反するものだと主張している。Linn, J., 反対意見2頁 (quoting Aro Mfg. Co. v. Convertible Top Replacement Co., 365 U.S. 336, 341 (1961)). 反対派はまた、連邦議会議事録の一節を引用しており、そこには反対派を支持するRich判事の証言も含まれている。Linn, J 反対意見10頁. 反対派は、「実行者が複数いる状況で直接侵害の責任を立証するには、十分に確立した代位責任原則が有効なテストとなる」と述べた。Linn, J 反対意見26頁. さらに、「直接侵害が不在であれば、特許権者は補償すべき損害に苦しめられることはない」id., と述べ、最後にBMC and Muniauction, Inc. v. Thomson Corp., 532 F.3d 1318 (Fed. Cir. 2008). にて議論された基準を詳細に記述している。
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